5月の中旬から「風邪が長引いている」、「花粉症がまだ続いている」、「急に肩こりがひどくなった」、
「急に腰が痛くなった(ぎっくり腰になった)」等の患者さんが目立ちます。
患者さんをいろいろ検査すると「猫・犬のアレルギー」が原因と推測されるケースがとても多いです。
前回は猫アレルギーについて説明しましたが、今回は犬アレルギーについて説明してみたいと思います。
「犬アレルギー」とは、犬が人間に与えるアレルゲンによってアレルギー反応が引き起こされた状態をいいます。
アレルギー反応とは、体内に入ってきた異物に対し、白血球を始めとする免疫系が過剰に反応しすぎて、本来守るべき人間を逆に苦しめてしまう現象のことです。そしてこのアレルギー反応を引き起こす物質がアレルゲン(抗原)です。
アメリカの調査では「猫・犬のアレルギー」の患者は人口の15%程度と推測されていますが、実際にはこれ以上いるのではないかと言われています。 また、犬アレルギーよりも猫アレルギーの方が発症頻度が高いようです。この理由としては、「犬に比べて猫の方がより親密に接触する機会が多い」という点などが考えられます。
【犬アレルギーの軽い症状】
犬アレルギーの軽い症状は、ちょうど風邪をひいたときの状態から発熱だけを引いた感じです。
・咳、喘鳴(呼吸がゼーゼー)
・目の充血、かゆみ
・鼻水・鼻のムズムズ、くしゃみ
・皮膚の発赤、じんましん 【犬アレルギーの思い症状】
【犬アレルギーの重い症状】
悪化すると、以下のような重い症状に発展することもあります。
・下痢、便秘
・嚥下困難、呼吸困難
・めまい、吐き気、嘔吐
・心拍数の増加、発熱
・副鼻腔炎、蓄膿症
・頭痛、肩こり、腰痛、ぎっくり腰
【犬アレルギーの原因】
犬の体内で生成される「アレルゲン」としては、現在7種類が知られています。中でも最も有名なのが「Can f 1」で、犬を飼育している家庭のほとんどで検出され、また飼育していない家庭の15%でも検出されたそうです。
「Can f 1」は皮脂腺から分泌される脂分や唾液の中に存在している物質で、非常に小さいため、犬の毛やふけ、さらにホコリなどの微粒子に付着して空気中を漂い、広範囲に拡散します。
「犬の毛がアレルギーを引き起こしている」という通説がありますがそれは間違いです。正確に表現すると「犬の毛・フケやホコリなどに付着したアレルゲンがアレルギー症状を引き起こしている」のです。
このように犬のアレルゲンは広範囲に拡散しますので、犬を飼っていない人や、犬に触っていない人にもアレルギーが発症することがあります。よって、上記のような症状が出ている人は一度病院でアレルゲンのチェックをしてもらって見てください。
【予防方法】
もし犬アレルギーに陽性反応が出た場合は次のような予防方法を心がけて下さい。
犬を飼っていない人はとにかく犬に近づかない事です。どうしても近づかなければいけない場合はマスクを着用しましょう。衣服にもアレルゲンが付着しますので、家に帰ったらすぐに洗濯して下さい。 また、5~6月は抜け毛の多い時期で犬のアレルゲンが広範囲に飛散しますので、できれば窓はあまり開けずに、空気清浄器を強めに稼働させて下さい。
犬を飼っている人は下記のようなことに注意して下さい。
1、犬の行動範囲を制限する
犬の行動範囲を特定の場所に制限すれば、人がアレルゲンと接する可能性を減らすことができます。リビングや寝室など、飼い主の使用頻度が高い空間に犬が立ち入れないようにすれば、それだけ症状を軽減することができます。
2、空気清浄機を稼働する
部屋の中で空気清浄機をつけっぱなしにしておけば、それだけアレルゲンを減らすことができます。特にHEPAフィルター付きのものがお勧めです。
3、こまめに掃除機をかける
アレルゲンを吸着しやすい布団、クッション、カーテン、ぬいぐるみなどにこまめにHEPAフィルター付きの掃除機をかけるようにすると、それだけアレルゲンを減らすことができます。
4、犬をお風呂に入れる
犬をシャンプーとシャワーで洗うと、毛とフケの中のアレルゲンを8割以上減らせるという結果が出ていますだし、ただし1週間に2回の頻度で行わなければ効果は薄いそうです。
5、毎日ブラッシングする
アレルゲンを媒介する抜け毛やフケの量を減らせれば、それだけアレルギー反応も減らすことができます。こまめなブラッシングで抜け毛を防ぎましょう。
6、こまめに手を洗う
アレルゲンを媒介する唾液やフケは、犬と最も接触しやすい手に付着します。意識的に手洗いを行うだけでアレルゲンとの接触を減らすことができるでしょう。
これらの予防方法を行うことで、アレルギーはある程度軽減できますので、是非取り組んでみて下さい。
また、アレルギー症状は、自律神経、小腸、肝臓などの働きを良くすることでかなり軽減できます。
当院ではこれらの部位の働きを良くする施術を行うことでアレルギー症状の軽減にもかなりの効果を上げています。
いろいろな予防を行ってもアレルギー症状が酷い方は、一度当院にご相談下さい。お役にたてると思います。
(追伸)
アレルギーを起こすとなぜ腰が痛くなったり、ぎっくり腰が発生するのかを簡単に説明しておきます。
アレルゲンが体に入ると小腸の白血球がアレルゲンを排除しようとして過剰反応を起こします。
(小腸は体の中で最大の免疫器官で体中の白血球の70%が小腸に在中しているそうです)
アレルゲンを排除する際に白血球は活性酸素を大量に放出します。
活性酸素が出すぎると腸の中の細胞も攻撃されて傷ついてしまい腸の働きが悪くなります。
腸の働きが悪くなると「内臓体性反射」という現象が起きて腰周辺の筋肉が強く緊張します。
筋肉の緊張状態が続くと腰が痛くなったり、ぎっくり腰のような急性の強い腰の痛みが出ます。
小腸のアレルギーが原因となっている腰痛はいくら腰の筋肉をもんだりほぐしたりしても良くなりません。
このようなケースでは腰の筋肉を緊張させいている根本原因である「小腸のアレルギー」を鎮静化させることが必要です。
当院では小腸のアレルギー状態を鎮静化させる施術も行っていますので、お困りの方は一度ご相談してみて下さい。